NMN研究が進んでいるアメリカでは、NMNと癌についての研究もすでに行われています、今回はハーバード メディカルスクールの遺伝学科の教授であり、老化研究における生物学の最先端を走るポールFグレンセンターの共同局長でもあるデビッド・シンクレア博士と、シェフィールド大学トランスレーショナル神経科学修士課程及びバーミンガム大学幹細胞生物学およびオートファジー博士課程のエレナ・セラノワ博士による最先端研究インタビューをご紹介します。
この記事の結論
- NMNでがんの進行が遅くなることが確認された。
- がん患者をつかったNADを増加させる臨床試験結果があり、結果として何も異常を起こさないという安全結果が出た。
- ニコチンアミドがヒトのがんの発生率を低下させることを示す研究がある。
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デビッド・シンクレア博士のコメント
皆様はNADをご存じでしょうか?それは自然に発生し、果物、牛乳、野菜などの食物源から作ることができます。体内では、NMNを使用して NADという体のあらゆる細胞に見られる必須分子が生成されます。
信じられないかもしれませんが、体内の NAD レベルがゼロになったら
あなたは約30秒で死んでしまうでしょう。。
私の研究室から癌のマウスモデルにNMNを投与し、がん細胞の経過を観察する実験を行いました。2種類のマウスで実験は行われ、1つは乳がんのマウスもう1つは肝臓がんのマウスでした。
結論から申し上げますと、2種類のがんのマウスはNMNによってがんが進行することはありませんでした。それどころかNMNにより乳がんのモデルではがんの進行が遅くなることが確認されました。
これまでのところ、NMN補給による癌の増加を発見した研究はありません。実験でもマウスに一生分のNMNを与えましたががん細胞の増加はありませんでした。
巷ではNMNはがんを促進させるというコンテンツを見かけますが、これはどこから発生したのでしょうか。恐らくNMNが血管形成を促進する事を示した研究から来ているのだと思います。NMNは筋肉や血管そして血流を改善します、そして脳の血流も改善することを発表されました。
これは老化には良いですが、がんには良くないかもしれません。もし血流に大きな腫瘍がある場合、注意が必要かもしれません。特にレスベラトロールとがんの関係は研究されていないのが現状です。
しかし、それは1つの懸念事項です。
セントルイスのワシントン大学から出された研究がありました。彼らがこの研究で示したのは、脳腫瘍細胞繊維を採取すると、NADのレベルが下がっていたのです。つまりがん細胞は細胞を作るNADを作る酵素を取り除いてしまったので上手く増殖しなかった。つまり細胞が成長する為にはNADが必要という事です。これは100年前に研究発表されたことで驚くべきことではありません。問題は100年前NADが癌を引き起こすか検証されなかった。その為NMNを使用してNADが造られる為、間違った形でNMNががんの進行を早めるとインターネット全体に広まったと考えられます。
だから私はNMNを飲み続けています。そして私の父は80歳でNMNを飲み続けていますが、NMNががんの進行を早めるならそれは自殺行為です。しかし私はそれを止めません。
そしてがん患者をつかったNADを増加させる臨床試験結果があり、結果として何も異常を起こさないという安全結果が出ています。
また2021年に日本で行われた研究では、NMNがマウスのがんと闘う免疫細胞の活性化を促進することが示されています。
また、2015年には、ニコチンアミドがヒトのがんの発生率を低下させることを示す研究があります。
エレナ・セラノワ博士のコメント
腫瘍のNADが減少すると、実際にはパー酵素が腫瘍のDNAを修復するのを妨げ、したがって腫瘍が化学療法に対してより敏感になるという理論があります。
これが、がんの治療にparp阻害剤が実際に使用されている理由です。
しかし実際には、マウスではNMNを摂取しても人間の成長が増加しないという証拠があり、これは複数の研究で示されています. がんは取り除かれ、彼らはnadブースターを服用していましたが、がんや細胞の新たな成長の刺激がなかっただけでなく、nadブーストと補充が基本的に健康な細胞を成長させ、成長を速めたように見えました。
興味深いことに、癌と NMN が一緒に育てられることがある理由は、老化の生物学と癌の生物学にあるからです。いくつかの類似点があります
sirt1のようにアップレギュレートされる遺伝子がいくつかあるので、これは低酸素症遺伝子などであり、癌におけるnadの複雑な役割があります。
しかし、私たちが見ているのは、そのメカニズムをまだよく理解していないように見えるということですが、エビデンスに関して言えるのは、多くの生物学的プロセスの観点からnadの補給が確実に癌を引き起こさないということです。
まだ理解していないプロセスがいくつかあります
彼らは潜在的に諸刃の剣として機能する可能性がありますが、これはすべての人が影響を受けるという意味ではありません. 以前に皮膚がんを患った患者にとっては悪くないことを知っています
ただし、これは、より多くの研究を行う必要がないという意味ではありません。もちろん、さまざまな種類の癌とそれらがどのように影響を受けるかなどを調査する必要があります。また、有益な可能性がある他のプロセスもあります。
別のものではありませんが、これはそれらが悪いプロセスであることを意味するものではないので、同じことが細胞内のフォトファジーのプロセスにも当てはまります。
オートファジーは非常に有益なプロセスであり、一部のがんでは実際に、生き残るためにオートファジーのこのメカニズムをハイジャックしているため、オートファジープロセスがあなたにとって本当に悪いというわけではありません。実際には本当に良いことであり、これが なぜ人々は断続的な断食やこれらすべてを行うのか.しかし、いくつかの特定の例では、それは悪いかもしれない.しかし、これを調節する方法はわかっている.局所的に適用できるいくつかのオートファジー阻害剤がある. これは細胞内のさまざまなプロセスに適用され、細胞内の特定のプロセスをすべての状況で非常に悪いと分類することはできません. これまでのところ非常によく見えます。マウスにすでに腫瘍があり、NMNを補充したマウス癌モデルでも、腫瘍の成長の加速は見られませんでした。
これもとてもいい勉強になりました
まとめ
最後にまとめとして、つまりNMNががんを促進させるというのは誤った情報がインターネットで広まってしまったという事のようです。デビッド・シンクレア博士とエレナ・セラノバ博士によると、NMNはがんと闘う免疫細胞の活性化を促進させるという事です。若い人ががんにならない理由はこの免疫細胞の活性が高いからなのですね。
参照:
- https://www.zymoresearch.com/blogs/press-releases/dr-david-sinclair-joins-zymo-research-corp-s-scientific-advisory-board
- https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29307841/